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「J-PALM」1年間の様子
本校では2022年度より数学科の授業において、生徒の理解度や習熟度に合わせて個別に学びを深めることができる独自の学習プログラム『J-PALM』を活用しています。
そのために、株式会社Libryと凸版印刷株式会社との「セルフモニタリング学習」推進協定を締結し、デジタル教材を活用した自律的な学習に生かしています。
1年間の活動の様子をご紹介します。
■導入から半年、変化と現状
初めは学習ペースがうまく掴めず、J-PALM に戸惑っていた生徒も、日々の学習と単元ごとに実施されるチェックテストのサイクルにも慣れ、それぞれが自分に合った学習スタイルを確立させることができるようになりました。
2 学期からは「数学が得意で、先取りして進めたい」「じっくり理解しながら進みたい」といった生徒の学習意欲をもとに 4 つにクラス分けを行いました。
生徒は同じペースで学習する仲間がいる環境で、教員はより生徒一人ひとりに合った発信をしながら、学習を進めています。
その結果として、生徒の学習意欲もさらに向上し、「友だちや先生に質問しやすい」「少人数制で集中できる」などの声が上がっています。(アンケート結果による実際の生徒の声を後述)
「J-PALMで数学の力はついていると思いますか?」
■Retry回の実施&「リフレクションシート」によって生徒の学習状況を可視化
2学期からは、単元ごとのチェックテストに再チャレンジする機会として、“Retry回”を導入しました。
チェックテストの結果を踏まえ、生徒自身の意思で受験を決定します。
解きなおしによって復習し再テストで点数をとることは、生徒のやる気にもつながり、「リベンジの機会があり嬉しい」と好評です。
さらにLibryに蓄積されたチェックテストの点数の推移や問題の演習量、学習時間帯などの学習データを元に、教科独自の成績表「リフレクションシート」を作成し生徒へ配布、フィードバックを行いました。
自身の取り組みを客観的に見つめなおし、学習スタイルを見直すきっかけになればと考えています。
「振り返りによって、自身の課題や自宅でやるべきことが見つけられていますか?」
■数値から見える取り組みの変化
J-PALMでは教科書知識の取得を目的に、教科書に掲載されているすべての問題に取り組むよう指導しています。
また2学期からは、新しい知識を習得するための教科書は、「なぜ?」を共有できる学校で取り組み、演習を重ね知識を定着させるための問題集は、家庭で取り組む学習サイクルについても生徒に提案してきました。
教科書網羅率としては、1学期(65%)から2学期(59%)と6%減少しており、教科書が進むにつれて問題の難易度が上がり、章末問題までやりきることのできない生徒が増加したようです。
しかし、問題集網羅率は1学期(32%)から2学期(46%)と14%増加しており、学校での知識獲得からの家庭学習による理解度確認の学習サイクルが確立されてきました。
今後は、生徒一人ひとりが自分に合った網羅率を目標とし、より自身にあった学習サイクルを確立できるよう、アドバイスしていきます。
■J-PALMの継続とともに探究活動の時間を増やし、「身近な数学に触れる」時間を
J-PALM によって単元を学習した後は、学んだことを用いて探究活動を行います。
日常に存在する様々な事柄に対して数学的な視点から探究・発表することで、数学的思考力・判断力・表現力の向上を目指しています。
これまでに、正負の数を取り入れトランプゲームを行ったり、新幹線の座席がなぜ2人席×3人席なのかを方程式を用いて考えたりなど、学んだことを活かした探究授業を行い、生徒は主体的に問題解決することで単元への理解を深めることができました。
■授業アンケートよりみえる意識の変化(生徒の声抜粋)
・1学期は新しい方法にあまり慣れることができなかったけれど、2学期になるとだんだん使い方がわかってきて、自分にあった学習を進めることができるようになった。動画がついているので、わからないところがあったらすぐに確認できて便利。
・授業の最初にその時間の目標を立てることで自分のやるべきことが分かり、45分間を有効に使うことができる。
・友達や先生と相談しながら授業に取り組めるし、何よりも自分のペースで取り組めることがとてもいいと思う。授業ノートも、どう書けば自分にとって分かりやすいノートになるのか考えながら、工夫しています。
・前まではわからないことをそのままにしてしまっていたけれど、J-PALMになってからは友達や先生にすぐ質問することができて、放置することがなくなりました。
・1学期よりも自分で計画を立てて学習を進めることが上手になったと思う。でも学年が上がり数学の内容が難しくなったときに、J-PALMで学習できるかどうか心配になります。
・ Libryを使って自分が間違えた問題を確認できるため、テスト前に苦手を重点的に勉強できます。また日々の学習記録を見返したときに、勉強できていない日が分かるので、自身の課題も見つけやすいです。
■今後の課題
J-PALM では、生徒がより自身に合った学習計画を立てられるよう面談を行っています。
また、こまめに授業アンケートをとることで生徒の率直な意見を吸い上げ、生徒のサインを見落とさないよう指導にあたっています。
数学が得意で先取り学習をしている生徒に対しては、学習内容の理解度への不安を解消するため、「セルフチェックシート」を用意し、定着しているか確認できる機会を設けました。
導入2年目からは、Libryを使うことで1年の間に蓄積されたデータを元にした“類題検索機能”を用い、自身の苦手を集中的に演習できるシステムを積極的に活用していきます。
J-PALM の目的である、生徒が自分で計画を立て、実行し、修正していく力、「自己調整学習力」を培うための指導を行いながら、”数学が好きになる”J-PALM へとさらなる進化を目指します。