山本 菜摘さん、長内 あや愛さん、若井 さやかさん 年次も進路も異なる3名の卒業生が、
十文字への想いや今後の展望などに
ついて熱く語り合いました。

山本 菜摘さん

信用金庫総合職 営業担当

山本 菜摘さん

昭和女子大学人間社会学部現代教養学科卒業。地域に根差した仕事がしたいと考え、現在出身地の信用金庫に勤務。

長内 あや愛さん

慶應義塾大学SFC研究所上席所員
日本橋「食の會」代表

長内 あや愛さん

食文化研究者、経営者。14歳のころより独自の料理研究に没頭。慶應義塾大学、同大学大学院を経て現職。

若井 さやかさん

東京医科歯科大学医学部保健衛生学科
看護学専攻2年生(取材時)

若井 さやかさん

大学では看護学を専攻。将来は教授職として医療・看護の道を究め、後進の育成にあたりたいと考えている。

これまでも、これからも。
十文字マインドは
人生やキャリアを支える土台となっている。

年次も進路も違う卒業生3名が語る思い出を通して
浮彫になる十文字の魅力とは――。

一人ひとりの個性を重んじる十文字が育んだ
自分ならではの道を切り開く力

現在のお仕事または勉強している分野、その進路を選んだいきさつを教えていただけますか。

山本現在、出身地の信用金庫で総合職として営業に携わっています。個人のお客様のお宅を訪問し、資産運用、ご預金の管理などについてご提案するのが主な業務です。私の父は地元で会社を営んでいるのですが、昔から金融機関のご担当者の方がよく父の相談に乗ってくださっている姿を目にしてきました。その姿を見て私も中小企業の経営者の方々の力になれるような、金融機関の営業職に就きたいと思うようになりました。また、日々の暮らしを支えてくださる地域の方々に貢献したい、バリバリ営業の仕事がしたい、金融の知識があれば今後もきっと役に立つだろうという考えもあり、この仕事を選びました。

山本 菜摘さん

出身地の信用金庫に勤務する山本さん

長内慶応義塾大学SFC研究所の上席所員と日本橋にあるレストラン「食の會」の代表を務めています。研究所では大学院の修士課程の時から行っている江戸・明治の食文化研究に携わり、その成果である料理を「食の會」でお客様にご提供しています。お客様においしいと喜んでいただいた後は、うかがったご意見やご感想をもとに自分の研究を深めていくことができ、よい循環を生んでいると思います。子どものころから料理を食べたりつくったりするだけでなく、食の背景にある歴史や関連するストーリーを探るのが好きで、14歳のときに食にまつわる仕事がしたいと考えるようになり、いまに至るまでずっと食の勉強や研究を続けています。

若井私は大学で主に看護学を学んでいます。看護では幅広い世代の、さまざまな文化的背景や社会的立場をもつ患者さんが対象となり、どんなケアが適切なのかも、それぞれ異なります。そのため一つの専門分野に留まらず、法学や倫理学といった教養科目もしっかり学び、豊かな知見を養うことを心がけています。また、学内の制度を利用して大学院の授業も受講し、日々の学びを深めています。もともと看護師になるのが夢でしたが、十文字時代に「看護という分野を仕事で目指すだけでなく、学問的にも究め、後進の育成にもあたりたい」という思いが芽生えました。現在は看護学の教授職を目指し、勉強に励む毎日を送っています。

生徒の主体性を尊重し、
社会で活躍するための素養を育む環境

中高時代で印象に残っているエピソード、そこから得た気づきや身についた力などがあれば教えてください。

若井学習習慣や自主的に学ぶ姿勢を身につけるための「タスクノート」を、毎日書いて先生に提出していました。テストまでの学習スケジュールを立てたり、毎日の学習の振り返りをしたりすることで、物事を整理して考える力、自己管理能力、分析力などが養われたように思います。現在もこの習慣は続いていて、自分なりの「タスクノート」をつくり、夢を叶えるために自分に足りないものは何なのか、それを補うためにはどうすればよいのか、日々分析しています。

長内14歳から続けてきた料理研究を今も継続できているのは、勉強に限らず生徒の興味を後押ししてくださる先生方の存在があったからです。

若井 さやかさん

大学で看護学を専攻する若井さん

入学前、学校生活と料理研究の両立ができるか不安だった私に「やってごらん」と温かい声をかけてくださったのは、当時の校長先生でした。ある先生は私が料理研究に没頭していることを知って、「こういうものがあるよ」と食にまつわる資格や珍しい郷土料理の存在を教えてくださいました。また、級友たちの姿を見ても、勉強や部活動など各々自分のやりたいことに邁進し、互いの違いを認めて尊重し合う姿勢が身についていたように感じました。

若井 さやかさん

大学で看護学を専攻する若井さん

山本十文字は文武両道を大切にしていますが、私も舞踊部に所属して創作ダンスに打ち込み、チームで全国大会入賞を果たしたこともあります。大会に向けて生徒が主体となって活動し、少しの空き時間も惜しんで、みんなで切磋琢磨しました。6年間の部活動を通じて、一つの物事を一貫して続けられたという自信も得られましたし、チームで一丸となって作品をつくりあげるという貴重な経験をすることもできました。中高一貫校なので、年齢差のあるメンバーとの接し方を学べたのも貴重な経験です。部活動を通じて濃い体験ができただけでなく、円滑なコミュニケーションの取り方や礼儀作法など様々な素養が育まれ、現在の仕事においても役立っています。

「立ちてかひある 人と生きなむ」
女性ならではの視点を以て社会に貢献したい

十文字での学びで今のご自身の生き方に影響を与えていることがあれば、教えてください。

長内私が今の仕事を始めたのは、先ほどのエピソードでもご紹介した当時の校長先生の存在が大きく影響しています。女性の活躍推進や社会進出に熱心な方で、朝礼のときなど折に触れ、関連するニュースや話題についてお話ししてくださいました。以来、女性の自立について興味を抱くようになり、研究に邁進しながらも起業して店舗を持ち、お客様からの料理に対するフィードバックを通じて研究を深めるという独自のキャリアを築くきっかけにもなりました。校歌の「たちてかひある 人と生きなむ」という言葉もまた印象に残っています。この言葉には、「自分自身の生きがいをもち、自分の力で世の中の役に立てる女性を育てたい」という十文字こと先生の願いが込められています。

長内 あや愛さん

食文化の研究者・経営者として活躍する長内さん

「女性の私がどのような形で人々の役に立てるのか、それを食の世界でどう実現するのか」という問いは、当時からずっと私の心に根づいています。今後の目標は、食文化研究者として、社会に役立つ成果を残すことです。研究を通じて、現在・未来の日本の食の課題を解決できる糸口を見つけられればよいと考えています。

山本私も、校歌の「たちてかひある 人と生きなむ」や、十文字こと先生の言葉「自彊不息じきょうやまず の精神」(自分を鍛えることをやめない)をとても大切なものとしてとらえています。現在の職場は男性に対して女性の比率は少なめですが、お客様のご相談内容によっては女性の私だからこそ役に立てることもあると思っています。社内では産休や育休を取得する人も多く、私自身、結婚・出産を経ても働き続けたいですし、金融に関する知識を深め、その道のプロとして活躍していきたいとも考えています。

長内 あや愛さん

食文化の研究者・経営者として活躍する長内さん

若井看護の分野は男性看護師も徐々に増えてきているものの、まだまだ女性が多い分野であり、女性としての視点が生かされる場なのかなと思っています。また、近年よく耳にする医療のキーワードの一つに「チーム医療」がありますが、患者さんに、より専門的で高度な治療やケアを行うためには、医師・看護師・薬剤師・介護スタッフなど様々な職種のメンバーが緊密に連携し合い、専門性を発揮しなければなりません。看護学を学ぶ者として、そうした状況の中で、看護師がただ医師の指示に従うのではなく、看護のプロという自立した存在としてどのように振る舞い、チームをリードしていくのかということにも興味があります。今後も十文字での教えを胸に、女性ならではの目線を大切にし、医療・看護の道に貢献していきたいです。